出産の痛みを和らげてくれる無痛分娩。日本では海外に比べてまだ普及率は低いですが、気になっている妊婦さんも多いのではないでしょうか?
私は2人目の出産で計画無痛分娩を選択しました。
今回は、
- 計画無痛分娩の流れ
- 本当に痛みはない?
- 無痛分娩を経験して感じたメリットは?
についてレポートします。
これから無痛分娩を検討してみたいという方の参考になれば幸いです。
Contents
無痛分娩とは、どんな出産方法?
無痛分娩とは、麻酔を使って陣痛や出産の痛みを緩和する分娩方法です。痛みを全く感じない完全無痛分娩から、ある程度痛みを感じる和痛分娩など、呼び方が異なる場合もあります。
多くの場合、腰や背中に細長いチューブを挿入して麻酔薬を挿入する「硬膜外鎮痛」という麻酔法が使用されています。
麻酔薬を入れて、10分もすれば下半身の感覚が鈍くなります。上半身は通常どおりで、手なども動かすことができます。また、意識がなくなることもありません。
麻酔薬は一度入れたら終わりではないので、切れてくるので、痛みのつらさを見ながら必要であれば追加していき、それを繰り返しながら出産に臨むことになります。
2人目出産で無痛分娩を選んだ経緯
私が、無痛分娩について興味を持ったのは、川上未映子さん著「きみは赤ちゃん」という本を読んだのがきっかけだったと思います。
著者本人が体験した妊娠から出産後までの出来事や考えを綴った内容で、一人目を妊娠していたころに手に取り、共感することも多く、長男出産後もよく読み返していた本です。
長男出産時の陣痛、出産の痛みに腰が抜けるほどびっくりし、出産後の生活においても生き地獄のような思いを味わった私は、もし2人目を産むようなことがあれば(当時は二度と出産などするものかと感じていましたが)、そのときは無痛分娩も視野に入れようと考えていました。
2人目の妊娠がわかったのは長男が2歳半の頃でした。出産後の大変な生活が容易に想像できた私は2人目を無痛分娩で計画出産をすると決めました。
なぜ計画出産を選んだか?計画無痛分娩のメリットとデメリット
無痛分娩の方法には、自然に陣痛が始まってから麻酔を開始する方法と、あらかじめ分娩日を決めて、計画的に行う計画無痛分娩の2種類の方法があります。
自然陣発を待つ無痛分娩は、
- より自然な出産に近い
- 陣痛促進剤を使わないで済む場合がある
などのメリットがありますが、
- 24時間体制で無痛分娩に対応してくれる病院を探さなければならない
- 陣痛が進まないと入院が長引いたり、逆に早く進んでしまうと麻酔が間に合わないこともある
というデメリットもあります。
一方、計画無痛分娩には、
- 出産予定日が決められるため、スケジュール調整をしやすい(家族の立ち会いなども)
- 時間外分娩の可能性が低い
というメリットがありますが、
- 陣痛促進剤をほぼ100%使用する
というのがデメリットといえるでしょう。
私は後者の計画無痛分娩を選びました。
無痛分娩での計画出産を選んだ理由は、
- 長男を一時的に保育園に通わせなければならなかったこと
- 遠方の義母に長男(と夫)のお世話をお願いしなければならなかったこと
が大きいですが、
産後のサポートが十分得られないであろうと覚悟していた私にとって、
出産時の痛みを和らげることができるのはもちろんのこと、
- 体力の消耗が少ないこと
- 出産予定日の大まかな検討がつくため、心の準備できること
も魅力的でした。
計画無痛分娩はいつ決める?
臨月に入るか入らないかの時期にだいたいの入院日の目安を決めて、週1回の健診で子宮口の開き具合を診ながら確認、調整することになります。
計画無痛分娩の実際の流れをレポート!
私の場合のスケジュールは、
計画出産日&入院日 1月17日
計画出産日の前日に入院する病院もあるようですが、私が選んだ産院は、当日の朝入院手続きと健診をして陣痛室で待機といった感じです。
では、実際の入院から出産までの流れをレポートしますね。
入院 ⇒ 診察
その日は、朝から産気づいて入院される方が何人かいらっしゃって、陣痛室に案内されるまで予定より待たされてしまいました。なぜか出産する方の多い日ってありますよね。満月の日や新月の日など…不思議です。
10:00 診察
入院をする前に、診察室で先生の診察を受けます。そのときすでに、子宮口が3~4㎝開いていたのでバルーンは必要ないとの診断でした。
バルーンとは、子宮頸管を押し広げる医療器具のことです。分娩誘発や陣痛促進の目的で使用されます。
陣痛促進剤投与 ⇒ 陣痛
11:00 陣痛室に案内され、着替えます。少しドキドキしてきました。
11:30 陣痛促進剤 投与開始
点滴で、陣痛促進剤の投与を開始します。点滴の位置は右腕です。特に痛みなどを感じることはありません。
12:00 昼食
点滴を続けながら昼食を頂きます。
いつも子どもと一緒でなんだかバタバタして、ひとりでの食事って本当に貴重なんですよね。「赤ちゃんが産まれてくると、こんな時間はないだろうな~」と想像しながら、ひとりランチを満喫しました。
12:30 陣痛開始
「えっ、もう陣痛きちゃった!?」っていうのが、正直な感想です。促進剤を投与してもなかなかお産が進まない人がいるとも耳にしていたので、驚きました。
でも、ふたりめなので、陣痛がどんなものかも分かるし、
「これは間違いなく陣痛だよね。束の間の、ひとりリラックスタイムだったな」
と、ちょっと苦笑いしたのを覚えています。
13:30 頃~ 陣痛すすむ、すすむ
「あーきたきた!間違いなく陣痛です。お産進んでますよ、助産師さん。痛いです、痛いです。麻酔投与いつですか?」
こちらの産院は、子宮口が6cm程度になったら麻酔を投与する方針をとってました。まあ、分かってはいたんですけど、個人的には「えっ、もう6cm開いてるでしょってくらい痛い!」
でも、まだ開いてないってことで、しばし陣痛とのお付き合い。もうちょっとゆっくりきて欲しかった(笑)
今思えば「あれが最後の陣痛かあ‥」と感慨深いです。
麻酔投与 ⇒ 出産
14:10頃? 破水! 麻酔投与
「パチン!」あれ?今音した?なんか、生温かい…。これ破水かな?
ってことで、ナースコール。破水は初めての体験だったので、これ破水なんだ~って感じです。もちろん痛いです。
「あっ、もう開いてますね!」ってチェックを受け、診察室へ移動します。
本心は、「あー、やっとだよ~」って、少しほっとしました。
横向きに寝て、背中からカテーテルを通します。ちょっとチクっとしますね。まあ陣痛感じてる最中なので、あまり針を刺す痛みなので、なんともなかったかな。
麻酔を打ってしばらくして、すーっと痛みが引いていきます。
「おー、痛みなくなった!すごい!」
そのまま分娩台へ
麻酔がきいているので、痛みがないです。当たり前かもしれないけれど、すごいです。
分娩台で、麻酔の先生、助産師さん、看護師さん、みんなの顔がまともに見れるって、ちょっと感動しました。
1人目のときは、もうパニック状態で、周りに誰がいたとか全然覚えてないんですよね。
でも、タイミング合わせながら、いきんで、休んで、繰り返し。
こんな楽な出産って天国かも…。
「早く赤ちゃんと会いたい!」
14:41 出産
待ちに待った、赤ちゃんとの対面です。
「うれしい!ちゃんと顔が見える!そしてお兄ちゃんと同じ顔じゃないか!」
1人目の自然分娩のときは、赤ちゃんの顔
時間軸を見て頂ければわかる通り、予想以上に急ピッチですすんだスピード出産でした。欲を言えば、もうちょっと前のタイミングで麻酔を打ってもらって、無痛分娩の恩恵をもう少し長い時間受けたかったなあと思います。
麻酔を打つタイミングは、病院によって異なる
私の場合のように、子宮口が何センチ開いてからという病院、もう最初から麻酔をして完全に痛みを感じられないようにする病院、妊婦さんのリクエストに応じてくれる病院などさまざまです。
日本では無痛分娩をすることができる病院は限られていますが、産院を探す際には、病院の方針についてよく確認しておくといいですね。
無痛分娩を体験して感じた「メリット・デメリット」
レポートのあとがきとして、まず、「無痛分娩を選んでよかったなと思う事」、そして「これは予想外だった!」と思うことを記しておきます。
無痛分娩のメリット①痛みが緩和されるので、ストレスが減る
まずはこれ!と思います。陣痛の痛みってトラウマになるほど。1人目の出産がそうでした。あのショッキングでした。人によるとは思いますが。
リラックスして、パニックにならないで、叫ばないで、出産できるって、すごいことだと思います。
無痛分娩のメリット② 体力の消耗が少ない
心身共に無痛分娩の方が、ダメージが少なかったと思います。
1人目のときは、腰痛やら、会陰切開の痛みやら、ちょっとダメージが大きかったので。もちろん産後の痛みのあれこれについて、私がノーマークだったのも、ダメージが大きかった理由のひとつではありますが。
しかし、そんな前準備や予備知識がなかったことを指し引いても、体への負担が少ないように感じました。しかも、今回は、陣痛促進剤を投入し始めてから出産まで4時間もかかっていませんので、体力の消耗が少なかったと思います。
なので、産後の回復も1人目の方より早かったです。
次は、予想外だったことについて。
無痛分娩で予想外だったこと「思ったよりも痛みを感じた」
私は、お産が進むのが早かったので、子宮口が開き麻酔を入れるまでの間、陣痛の痛みは結構感じました。それが思ったよりも痛かったです。
もちろん、麻酔を入れてからは痛みは感じず、しっかりと赤ちゃんが産まれてくる様子を目に焼き付けることができました。
痛みについては、「そんなものだ」と言われてしまえばそれまでですが、「絶対に痛いのは嫌だ」という人は、どのタイミングで麻酔を投入するかについて、しっかりと医師に確認しておいた方がいいと思います。
自分が選んだお産に満足
計画無痛分娩は、陣痛促進剤を100%使うことになるため、自然の摂理にかなったお産からは遠ざかることになります。
そのため、夫はともかく、例えば義理のお母さんに伝えにくかったり、自然分娩で感じる痛みを味わっていないことに負い目を感じたりすることもあるかもしれません。
実際に私の義母は、計画分娩についてはあまり賛成ではなかったと思います。
ただ、誰が代わってくれるわけでもない、産むのは自分なんですよね。痛みでストレスを感じたり、体力を必要以上に消耗したりしないで済み、自分が納得する出産方法なら、それでいいと思います。
私は無痛分娩のお産に満足です。