朝ドラ『ブラッサム』第7週では、札幌で保と暮らす葉野珠(石橋静河)の人生が大きく動きます。
保との家庭を築こうとしていた珠。しかし、思いがけない現実に直面し、心を揺さぶられます。
そんな珠が再び夢中になったのが小説でした。『脂粉の顔』の入選をきっかけに、珠は小説家への道を歩み始めます。
この記事では、『ブラッサム』第7週のあらすじを紹介します。
(ネタバレがあります)
今週の見どころ
- 珠と保が思い描く札幌での暮らし
- 『脂粉の顔』が新人小説の懸賞に入選
- 『墓を発く』をきっかけに東京へ
ブラッサム第7週のあらすじ・ネタバレ

1920(大正9)年5月。札幌で保と暮らす珠は、この土地に家を持ち、子どもを育てていきたいと考えるようになっていました。
ところが診察を受けた珠は、元気な赤ちゃんを産める望みが薄いと告げられます。子どもを持つ未来を思い描いていた珠は、大きなショックを受けました。
そんなある日、珠は新聞で新人小説の募集を見つけます。夢中で書き上げた『脂粉の顔』が入選し、珠の中で「もっと書きたい」という思いが膨らんでいきました。
さらに『墓を発く』を書き上げ、「首都公論」へ送った珠。しかし、いつまで待っても返事はありません。
作品を読んでもらえたのか自分で確かめたい。珠は保を説得し、東京へ向かいます。
そこで珠は、『墓を発く』がすでに「首都公論」に掲載されていたことを知りました。小説家として新たな一歩を踏み出した珠は、札幌へは戻らず、夜汽車で故郷・岩国へ向かいます。
▼『ブラッサム』週別あらすじ
ブラッサム第7週の詳しいあらすじ
第7週では、珠と保の札幌での暮らしから、『脂粉の顔』の入選、『墓を発く』の掲載、そして珠が岩国へ向かうまでが描かれます。
穏やかな暮らしを続けたい気持ちと、小説を書きたい気持ち。珠の中で、二つの思いが少しずつ離れていきます。
珠と保が思い描く札幌での暮らし
1920(大正9)年5月。頼母子講に当たってから3か月がたちましたが、珠はまだ金の使い道を決められずにいました。
ある晩、珠は保に自分たちの家が欲しいと打ち明けます。料理や洗濯をして保を支え、子どもを育てながら、大好きな札幌でずっと暮らしたいと考えていたのです。
子どものことを珠に言い出せずにいた保は、その言葉を喜びました。正吾と浪江にも、この土地に骨をうずめ、子どもを育てる家を買いたいと報告します。
正吾に不動産屋を紹介してもらった二人は、さっそく家探しを始めました。しかし、なかなか理想の物件には出会えません。
それでも珠は、将来の生活を想像するだけで幸せでした。
珠に告げられた現実
ところが珠は、浪江に勧められて診察を受けます。
そこで医師から告げられたのは、珠が思ってもいなかったことでした。
「元気な赤ちゃんが生まれるのには望みが薄いんだってさ!」
帰宅した珠は、泣きながら保に打ち明けます。以前のつらい経験を思い出し、もう同じ思いはしたくないと涙を流しました。
保は、そんな珠のそばに寄り添います。
しかし珠は、子どもを持てないかもしれない現実をなかなか受け止められません。仕事にも身が入らなくなっていきました。
『脂粉の顔』を書き始める珠
12月のある朝。いつものように保を送り出した珠は、新聞に載っていた新人小説募集の記事に目を奪われます。
その夜から珠は、保が眠ったあとも原稿用紙に向かいました。夢中になって書き始めた作品が『脂粉の顔』です。
主人公は、美しいと評判のカフェーの女給・お澄。
金持ちのスイス人・ファーバーから愛人契約を持ちかけられますが、ファーバーはやがて若く美しい女性へ心を移してしまいます。
珠は約1週間で『脂粉の顔』を書き上げました。
珠が小説を書いていることを知った正吾は、元気が戻った証しだと喜びます。
『脂粉の顔』が入選
年が明けた1月のある朝。新聞を見た保は驚き、珠を呼びました。
珠の『脂粉の顔』が新人小説の懸賞に入選していたのです。作品は新聞にも掲載され、賞金は300円でした。
珠の快挙は町でも評判になります。
しかし珠は、手放しでは喜べませんでした。『脂粉の顔』への評価を読み、ほかの入選作品への講評も目にしたことで、もっといい作品を書きたいという気持ちが強くなったのです。
正吾は保に、家を買う話はどうなったのかと尋ねます。保も珠を新しい候補物件へ誘いました。
ところが珠は、もう少し待ってほしいと頼みます。
書きたい気持ちが、どうしても抑えられなくなっていました。
『墓を発く』を書き上げる
珠は以前、故郷の岩国で見聞きしたことをもとに書いた原稿を見つけます。
もう一度その作品と向き合い、書き直すことにしました。
一方、正吾と浪江は珠のことを心配します。
正吾は、そろそろ保のため、家族のために生きてはどうかと珠に話しました。
保は、珠がやりたいことならと受け入れてくれます。
そんな保の優しさに触れるほど、珠は苦しくなりました。書くことをやめられない自分と、家庭を望む保との間にある隔たりに気づいてしまったからです。
それでも珠は、家事と仕事の合間を縫って原稿を書き続けます。
そして冬のある朝、ついに『墓を発く』を書き上げました。
完成した珠は、「首都公論」の黒崎宛てに原稿を送ります。
しかし、翌1921(大正10)年の春になっても返事は届きません。
黒崎に会うため東京へ
『墓を発く』の返事を待ち続ける珠。
黒崎が本当に作品を読んでくれたのか、気になって仕方がありませんでした。
ある晩、珠は保に東京へ行きたいと話します。
黒崎に直接会い、『墓を発く』を読んでもらえたのか、どう感じたのかを聞きたいというのです。
保は納得できない様子でした。
それでも珠は訴えます。
「あの小説は、今のウチの全部なんよ」
なかったことにされてしまえば、自分まで消えてしまうように感じる。珠にとって小説は、それほど大きな存在になっていました。
珠の強い思いに根負けし、保は東京行きを認めます。
「じゃが、ワガママはもうこれきりじゃ。ええの」
こうして珠は、黒崎に会うため東京へ向かいました。
『墓を発く』は掲載されていた
実はその3か月前、「首都公論」の編集部では黒崎と山中が『墓を発く』を読んでいました。
二人は珠の作品を高く評価していたのです。
東京に着いた珠が編集部を訪ねると、黒崎は返事ならすでに送ったはずだと言います。
確認してみると、『墓を発く』はすでに「首都公論」の最新号に掲載されていました。
若手編集員・横田の手違いで、珠への返事が届いていなかったのです。
「気分はどうだ」
黒崎に尋ねられた珠は、まだ信じられない様子でした。
「……最高じゃ」
さらに珠は、原稿料として300円を受け取ります。
山中から自分の作品についての感想を聞いた珠。黒崎はすぐに次回作の相談を始めようとしました。
しかし珠は、少し時間が欲しいと頼みます。どうしても相談したい人がいたのです。
珠は札幌へ戻らず岩国へ
東京へ出た珠が、いずれ札幌へ帰ってくる。
保はそう考えていました。
ところが、珠から届いた電報には思いがけない言葉が書かれていました。
「コレカラ イワクニヘ イク」
珠は札幌へ戻らず、故郷の岩国へ向かうことを決めたのです。
そのころ珠は、夜汽車に揺られていました。
保との札幌での生活から離れ、再び故郷へ。
『脂粉の顔』と『墓を発く』を書いたことで、珠の人生は大きく動き始めました。
ブラッサム第7週を史実から深掘り
第7週では、『脂粉の顔』と『墓を発く』が珠の人生を変える作品として登場します。
モデルとなった宇野千代も、札幌時代にこの2作品を書き、小説家への道を歩み始めました。
宇野千代と『脂粉の顔』
宇野千代は1919(大正8)年、22歳で藤村忠と結婚しました。
藤村忠が北海道拓殖銀行に就職したことから、二人は札幌へ移ります。千代は家事をこなしながら、女学校で身につけた裁縫を生かして仕立物にも励んでいました
そんな札幌時代に書いたのが『脂粉の顔』です。
千代は『時事新報』の懸賞小説に応募し、一等に当選。賞金200円を手にしました。
朝ドラ『ブラッサム』では、珠の『脂粉の顔』は懸賞に入選し、賞金は300円と描かれています。
ドラマと史実では、この部分に違いがあります。
『墓を発く』と東京行き
『脂粉の顔』の当選に自信を得た宇野千代は、続いて『墓を発く』を書き上げました。
原稿を送った相手は、中央公論社の編集者・瀧田樗陰です。
ところが、何か月たっても返事がありません。
待ちきれなくなった千代は、作品が採用されたのか自分で確かめるため東京へ向かいました。
東京で瀧田に会い、『墓を発く』が『中央公論』1922(大正11)年5月号に掲載されることを知ります。原稿料は366円でした。
その日のうちに千代は故郷・岩国へ帰っています。
『ブラッサム』でも、珠が「首都公論」の黒崎大三郎を訪ね、掲載を知ったあと岩国へ向かいます。
『脂粉の顔』から『墓を発く』へ。そして東京から岩国へ。
ブラッサム第7週の登場人物
第7週では、珠と保の札幌生活に加え、「首都公論」の編集者たちが物語に深く関わってきます。
| 人物 | キャスト | 第7週での役どころ |
|---|---|---|
| 葉野珠 | 石橋静河 | 『脂粉の顔』の入選をきっかけに、小説を書くことへ夢中になっていく。 |
| 木村保 | 金子大地 | 札幌で珠と暮らす。小説を書き続ける珠を見守る。 |
| 木村正吾 | 三宅弘城 | 珠と保の暮らしを気にかけ、珠に家族のために生きることを勧める。 |
| 木村浪江 | 杉田かおる | 珠を気遣い、診察を受けるよう勧める。 |
| 黒崎大三郎 | 遠藤憲一 | 「首都公論」の編集長。珠の『墓を発く』を評価する。 |
| 山中勇三 | 井浦新 | 「首都公論」の編集者。『墓を発く』を読み、珠の作品を評価する。 |
ブラッサム第7週まとめ
『ブラッサム』第7週では、珠が『脂粉の顔』の入選をきっかけに、小説家への道を進み始めます。
さらに『墓を発く』が「首都公論」に掲載され、珠の世界は札幌の外へと広がりました。
保のもとへは戻らず、珠が向かったのは故郷・岩国です。
参考:山口県観光サイト「作家・宇野千代とは?波乱万丈な生涯と故郷・岩国で育まれた人生観」
参考:国立国会図書館「近代日本人の肖像」