朝ドラ『ブラッサム』に登場する人気作家・土橋風子。尾野真千子さんが演じる土橋風子の実在モデルは、作家の吉屋信子です。
吉屋信子は『花物語』などで人気を集めた女性作家。宇野千代とは1歳違いで、若いころから親しく交流していました。
この記事では、
- 土橋風子の実在モデル・吉屋信子
- 吉屋信子はどんな作家だったのか
- 宇野千代と吉屋信子の関係
- 尾野真千子さんが演じる土橋風子
土橋風子の実在モデルは吉屋信子

朝ドラ『ブラッサム』で尾野真千子さんが演じる土橋風子。実在モデルは、作家の吉屋信子です。
ドラマの土橋風子は、「少女小説」で人気を集めた作家。主人公・葉野珠が憧れ、女性作家としての「凄み」を感じる人物として登場します。
葉野珠のモデルとなった宇野千代と、土橋風子のモデルとなった吉屋信子。史実でも、二人は親しく交流していました。
吉屋信子はどんな作家?
吉屋信子は1896年、新潟県に生まれました。宇野千代は1897年生まれで、吉屋信子のほうが1歳年上です。
| 項目 | 吉屋信子 |
|---|---|
| 生年 | 1896年 |
| 代表作 | 『花物語』『地の果まで』など |
| 職業 | 小説家 |
| 宇野千代との年齢差 | 1歳年上 |
| 『ブラッサム』 | 土橋風子の実在モデル |
『花物語』で人気作家に
吉屋信子の代表作のひとつが『花物語』です。
1916年、20歳のころに「少女画報」へ第1話「鈴蘭」を投稿。採用され、同年7月号に掲載されました。
作品は読者から人気を集め、シリーズは長く続きます。さらに1920年には、『地の果まで』が大阪朝日新聞で連載されました。
20代ですでに人気作家となっていた吉屋信子。一方の宇野千代も、1920年代に小説家への道を歩み始めます。
女性作家として活躍
吉屋信子は少女小説だけでなく、幅広い作品を書き続けました。
私生活では、1923年に門馬千代と出会い、1926年には東京・下落合に家を建てて二人で暮らし始めます。
小説を書き、自分で生活を築いていく。そんな吉屋信子の暮らし方は、のちに宇野千代にも強い印象を与えました。
宇野千代と吉屋信子の関係
宇野千代と吉屋信子が親しくなったのは、1924年ごろです。
- 宇野千代:27歳ごろ
- 吉屋信子:28歳ごろ
ほぼ同世代で、しかも二人とも小説を書く女性でした。
神奈川近代文学館では、二人の関係について次のように紹介しています。
「一歳下の宇野とはとりわけ仲が良かった」
(引用:神奈川近代文学館「ふたりの千代」)
単なる知人ではなく、かなり親しい間柄だったことが伝わります。
大森で親しくなる
1924年、吉屋信子は東京・大森不入斗(いりやまず)で暮らしていました。その近くの馬込には、尾崎士郎と暮らす宇野千代がいました。
このころ二人は親しくなり、互いの家を行き来するようになります。
1924年 大森周辺で親しくなる
宇野千代と吉屋信子が親しくなり、互いの家を行き来するようになります。
1928年 吉屋信子が渡欧
吉屋信子が門馬千代とヨーロッパへ出発。宇野千代も歓送会に参加しました。
1938年 宇野千代が作品の感想を伝える
吉屋信子の新聞小説『家庭日記』が始まると、宇野千代が電話で感想を伝えました。
1939年 吉屋信子が媒酌人に
宇野千代が北原武夫と結婚。吉屋信子と藤田嗣治が媒酌人を務めました。
若いころに始まった二人の交流は、その後も長く続きました。
暮らしぶりに驚いた宇野千代
二人の交流には、こんなエピソードもあります。
宇野千代が吉屋信子の家を訪れたとき、印象に残ったのが、きちんと整えられた暮らしぶりでした。
吉屋信子の財布には紙幣だけでなく、市電やバスの回数券など、生活に必要なものがきちんと用意されていた
といいます。
当時の宇野千代にとって、同じ作家でありながら生活まで整えている吉屋信子の姿は新鮮でした。
親しい二人でしたが、暮らし方にはかなり違いがあったようです。
参考文献:『宇野千代全集 第12巻』宇野千代
二人の交流は続いた
1924年に親しくなった宇野千代と吉屋信子。その付き合いは、数年で終わったものではありませんでした。
吉屋信子の渡欧を見送る
1928年、吉屋信子は門馬千代とともにヨーロッパへ向かいます。
ドイツ、ベルギー、フランスなどを巡る大きな旅でした。
その渡欧前に開かれた歓送会には、宇野千代も参加しています。
出会ってから約4年。二人が変わらず交流を続けていたことが分かります。
作品の感想を伝えた宇野千代
二人は、互いの作品にも関心を寄せていました。
1938年2月、吉屋信子の新聞小説『家庭日記』の連載が始まります。すると宇野千代は、さっそく吉屋信子へ電話をかけました。
吉屋信子は、その日のことを日記に残しています。
「書き出しをホメた電話わざわざもらふ」
(引用:吉屋信子 1938年2月22日の日記/神奈川近代文学館「ふたりの千代」)
連載が始まるとすぐに読み、感想を伝えた宇野千代。作家になってからも続いた親しい関係が伝わるエピソードです。
宇野千代の結婚で媒酌人に
さらに二人の親しさが分かるのが、宇野千代の結婚です。
1939年4月、宇野千代は作家の北原武夫と結婚。このとき、吉屋信子と藤田嗣治が媒酌人を務めています。
1924年に親しくなってから、およそ15年。吉屋信子は、宇野千代の人生の大きな節目にも立ち会いました。
二人は、同じ時代を生きた女性作家というだけではありません。長く付き合いを続けた、親しい友人でもあったのです。
土橋風子役は尾野真千子
朝ドラ『ブラッサム』で土橋風子を演じるのは、尾野真千子さんです。
尾野真千子さんと朝ドラといえば、2011年度後期の『カーネーション』。ヒロイン・小原糸子を演じ、大きな注目を集めました。
朝ドラ『カーネーション』以来の出演
『ブラッサム』で尾野真千子さんが演じるのは、主人公・葉野珠が憧れる人気作家です。
土橋風子は「少女小説」でブレイク。時代の常識に縛られず、自分の考えを持って生きる女性として描かれます。
ヒロインだった『カーネーション』とは、また違った立場での朝ドラ出演。若い葉野珠にどんな刺激を与えるのかも見どころです。
尾野真千子が語る土橋風子
尾野真千子さんは、土橋風子について次のように語っています。
「本当に自分の意思をちゃんと持った強い人」
(引用:ステラnet)
尾野真千子さんは、その「力強さ」を意識しながら演じたいと話しています。
実在モデルの吉屋信子も、若い宇野千代にとって印象深い存在でした。作家として活躍しながら、自分なりの暮らしを築いた吉屋信子。
『ブラッサム』では、その姿が土橋風子にどう重ねられるのか注目です。
まとめ|土橋風子のモデル・吉屋信子
以上、朝ドラ『ブラッサム』の土橋風子と、実在モデル・吉屋信子についてご紹介しました。
吉屋信子は宇野千代より1歳年上。20代のころから親しくなり、その交流は長く続きました。
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参考:
兵庫県立美術館「ネットミュージアム兵庫文学館 吉屋信子」
神奈川近代文学館「ふたりの千代」
宇野千代顕彰会「宇野千代私製年譜」