朝ドラ『ブラッサム』第5週では、東京で暮らし始めた葉野珠(石橋静河)が、再び小説を書き始めます。
保(金子大地)との関係を周囲に打ち明けた珠。さらに生活のために西洋レストラン「悠樂軒」で働き始め、作家や編集者たちと出会います。
文学の世界を間近に感じた珠は、自分の小説を世に出そうと動き始めました。
この記事では、『ブラッサム』第5週のあらすじを紹介します。(ネタバレがあります)
今週の見どころ
- 珠が再び小説を書き始める
- 悠樂軒で作家や編集者と出会う
- 珠と保の関係が大きく動く
ブラッサム第5週のあらすじ・ネタバレ

十月。珠が保と東京で暮らし始めて、一か月がたちました。下宿「三好」のマキと辰五郎には、兄妹として接していた二人。
しかし、毎日のように保の好物を食卓に並べ、見送りに出る珠を見て、マキは二人の関係を疑い始めます。
やがて珠と保は、本当はいとこ同士だと告白。岩国を離れた事情についても打ち明けました。
珠は保に好意を抱きながらも、岩国での失恋が忘れられません。新しい恋に踏み出せずにいました。
そんな珠に、保は小説を書かないのかと問いかけます。「岩国。いろんなこと、忘れんように」――珠は再び原稿に向かい始めました。
その後、保の実家からの仕送りが途絶え、珠は西洋レストラン「悠樂軒」で働き始めます。そこで目にしたのは、作家や編集者たちが行き交う文学の世界でした。
珠は仕事の合間にも小説を書き続け、文芸雑誌「首都公論」の編集長・黒崎大三郎に原稿を渡します。
厳しい批評を受けても、珠は書くことをやめません。一方、保との関係にも変化が訪れます。
小説への情熱と保への思い。二つが動き出した珠は、数か月後、自分が妊娠していることに気づきます。
▼『ブラッサム』週別あらすじ
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ぶくぶく堂で小山牛丸と出会う
東京での暮らしにも慣れてきた珠は、ある日「ぶくぶく堂」を訪れます。店に入る直前、背の高い男性客とすれ違いました。
本田によれば、その人物は人気作家の秋山格之介でした。
珠は店内で、小山牛丸が訳した『イワンの馬鹿』を手に取ります。牛丸の翻訳は、珠が憧れるほど好きな文章でした。
そこへ突然、大声で世の中への不満を語る男が現れます。真面目に働く庶民が貧しいままであることに、怒りをぶつけていました。
その人物こそ、珠が憧れていた翻訳家・小山牛丸です。珠は思いがけない出会いに感激します。
牛丸は『イワンの馬鹿』について熱く語ったかと思うと、突然「書かねばならんことを思いついた」と店を出ていきました。
書きたいものが浮かべば、すぐに文章へ向かう。珠は、そんな牛丸の姿を間近で見ることになります。
珠と保が本当の関係を打ち明ける
一方、下宿ではマキの疑いが深まっていました。珠は毎日のように保の好物を食卓に並べ、朝には保を見送ります。
マキには、その姿が兄を見る妹の目には見えませんでした。
とうとう珠と保は、辰五郎とマキに事情を話します。二人は兄妹ではなく、いとこ同士でした。
珠は岩国にいられなくなり、親の計らいで保と東京で暮らすようになったのです。事情を知った辰五郎とマキは、二人を受け入れてくれます。
珠はさらに、マキへ胸の内を明かしました。保のことは好き。しかし、岩国でひどい失恋を経験し、まだ新しい恋をするのが怖い。
保からは「待つ」と言われていました。珠の中には、岩国で起きたことがまだ強く残っていたのです。
珠が再び小説を書き始める
その夜、保は珠に尋ねます。小説を書かないのか。書きたいことはないのか――。
珠の頭に浮かんだのは、故郷・岩国でした。忘れたくない出来事が、いくつもあります。
「岩国。いろんなこと、忘れんように」
珠は再び、小説を書き始めました。
しかし、生活にも変化が訪れます。一九一七(大正六)年十月、保の父が入院しました。
家計が苦しくなり、仕送りを続けられないという知らせが届きます。
保を学業に専念させたい珠は、自分が働くと宣言。すぐには仕事が見つかりませんでしたが、辰五郎が新聞で西洋レストラン「悠樂軒」の求人広告を見つけます。
珠は生活を支えるため、自ら働く道を選びました。
悠樂軒で作家や編集者と出会う
珠は悠樂軒で採用されました。制服の着物に白いエプロンを身につけ、翌日から朝十時から夜八時まで働き始めます。
店にはスギ、ヨネ、松子たちもいました。
慣れない仕事は忙しいものの、悠樂軒には思いがけない魅力がありました。店には、文学の世界で活躍する人たちが次々とやってきたのです。
中でも目を引いたのが、文芸雑誌「首都公論」の編集長・黒崎大三郎と、副編集長の山中勇三でした。
「首都公論」は、多くの作家が原稿を載せてもらおうとする人気雑誌。二人は店でも羽振りがよく、珠に五十銭のチップを置いて帰ります。
さらに珠は、悠樂軒で作家・秋山格之介とも出会いました。
働きながら小説を書く珠にとって、悠樂軒は文学の世界につながる場所になっていきます。
珠は作家志望の左良太とも知り合いました。左は黒崎たちの会話から、文壇で何が求められているのか探ろうとしています。
すでに小説を書いている珠に興味を持ち、二人は文学について話すようになりました。
黒崎に小説を読んでもらう珠
珠は、自分が書いた小説を黒崎に読んでもらいたいと考えます。翌日、店を出た黒崎を追いかけ、原稿を差し出しました。
一流作家の原稿を数多く抱える黒崎。それでも珠は引き下がりません。
自分の小説を読んでほしい。その一心で原稿を託します。
後日、黒崎が悠樂軒へやってきました。返された原稿への評価は厳しいものでした。
テーマに対する珠自身の立ち位置がはっきりしない。もっと腹の中を見せなければならない――。
それができないなら、書くのをやめたほうがいいとも言われます。
珠は落ち込みながらも、黒崎に礼を言って仕事へ戻りました。その夜、話を聞いた保は珠を励まします。
珠の作品なら自分が読む。傑作に決まっている。
どんなときも自分を信じてくれる保の存在が、珠を支えていました。
秋山の言葉と珠の決意
珠は悠樂軒を訪れた秋山に、自分の小説を黒崎から酷評されたことを話します。
すると秋山は、酷評されて傷つくのは、自分を信じていた証拠ではないかと珠を励ましました。
厳しい言葉を受けても、それで終わりではありません。珠は再び前を向きます。
一方、左も珠から刺激を受けていました。大阪から東京へ出てきて三年。絵や音楽などにも手を出し、落ち着かない日々を送ってきた左。
真剣に小説へ向き合う珠と出会い、自分も原稿を書けるようになったと話します。
二人が手を握って喜んでいるところへ、珠を迎えに来た保が現れました。その姿を見た保は、怒りをあらわにします。
珠と保の関係が変わる
部屋へ戻っても、保の怒りは収まりませんでした。保は、珠が自分のほうを向いてくれるのを二年以上待っていたと訴えます。
しかし珠には、どうしても怖さが残っていました。
恋仲になれば、いつか終わりが来る。岩国で傷ついた経験が、珠の心を縛っていたのです。
それでも保は、自分は珠を裏切らないと伝えます。そして珠も、ついに自分の気持ちを認めました。
「……兄さまじゃない。ワシは保さんが好きじゃ」
珠と保は、兄妹のように暮らしてきた関係から一歩踏み出します。
そのころ「首都公論」の編集部では、黒崎が珠の原稿について山中に話していました。
稚拙な部分はある。それでも、油断していると心をえぐられるような瞬間があった――。
厳しく酷評した黒崎の中にも、珠の文章は何かを残していました。
それから数か月後。珠は、自分が妊娠していることに気づきます。
ブラッサム第5週を史実から深掘り
第5週では、珠が西洋レストラン「悠樂軒」で働き、作家や編集者たちと出会います。
この展開には、モデルとなった宇野千代が東京で過ごした時代と重なる部分があります。
宇野千代も東京のレストランで働いていた
宇野千代は1917(大正6)年に上京しました。婦人記者や家庭教師、店員など、さまざまな仕事を経験しています。
そのひとつが、東京・本郷三丁目にあった西洋料理店「燕楽軒」での給仕でした。
働いた期間は、わずか18日間。この短い経験が、宇野千代を文学の世界へ近づけるきっかけとなります。
燕楽軒の向かいには中央公論社があり、編集長の瀧田樗陰が店を訪れていました。
さらに芥川龍之介、久米正雄、菊池寛、佐藤春夫、今東光ら、当時の文学者たちとも接点が生まれます。
第5週の「悠樂軒」は、宇野千代が文学者たちと出会った燕楽軒を思わせる舞台です。
『脂粉の顔』で小説家への道が開く
宇野千代が作家として大きな一歩を踏み出したのは、東京で給仕をしていた時期より後です。
藤村忠と結婚し、札幌で暮らしていた1921(大正10)年。『時事新報』の懸賞小説に『脂粉の顔』を応募しました。
『脂粉の顔』は一等に入選。宇野千代は24歳でした。
その後、『墓を発く』が『中央公論』に掲載され、文壇へ進んでいきます。
東京で文学者たちと出会った経験を経て、宇野千代は小説家として歩み始めました。
ブラッサム第5週の登場人物
第5週では、東京で暮らす珠と保に加え、悠樂軒や文学の世界に関わる人物が一気に増えてきます。
| 人物 | キャスト | 第5週での役どころ |
|---|---|---|
| 葉野珠 | 石橋静河 | 悠樂軒で働きながら小説を書き、黒崎に原稿を読んでもらう |
| 木村保 | 金子大地 | 珠を支え続け、ついに互いの思いを確かめ合う |
| 三好マキ | 中村優子 | 珠と保が本当の兄妹ではないことに気づく |
| 三好辰五郎 | 赤堀雅秋 | 珠と保の事情を知り、二人を受け入れる |
| 黒崎大三郎 | 遠藤憲一 | 「首都公論」編集長。珠の原稿を厳しく批評する |
| 山中勇三 | 井浦新 | 「首都公論」の副編集長。黒崎とともに悠樂軒を訪れる |
| 秋山格之介 | 高良健吾 | 人気作家。酷評を受けた珠を励ます |
| 小山牛丸 | イッセー尾形 | 珠が憧れる翻訳家。「ぶくぶく堂」で珠と出会う |
| 左良太 | 北野秀気 | 作家を目指す青年。珠に刺激を受けて小説を書き始める |
ブラッサム第5週まとめ
第5週では、珠が再び小説を書き始め、文学の世界へ一歩踏み出しました。
悠樂軒で作家や編集者と出会い、黒崎から厳しい批評を受けても、書くことをやめません。一方、保との関係も大きく動き、互いの思いを確かめ合います。
参考:
岩国市「宇野千代―岩国の旅―」
山口県観光サイト「作家・宇野千代とは?」
文京区
国立国会図書館「近代日本人の肖像 宇野千代」